なぜ独立したのか?
関口: 本当は4社目でエサイトの再上場の話とか、D2Cの立ち上げとかやってたっていうの聞きたかったんですけど…「なぜ独立したんだっけ?」「どうやったら客員教授のポジションに誘われるのか」っていうのと、あとは「独立の給料とか諸々について」を、今日はちょっとお聞きしたいなと。
石田: はい。4社目でIPO、その当時は新規事業の責任者をしていて。正確に言うと、承認の時まで新規事業責任者として在籍していて、2023年の4月に独立しました。独立するタイミングで思っていたことは、2023年の1月かな?このタイミングで、年始なんで色々考えるじゃないですか。その当時は32歳だったので。自分の40歳前のキャリアどうしようかなとか思った時に、「なんとなく上場するな」とかは、空気感でわかるじゃないですか。
関口:はい。
石田:上場した後の2~3年間、部長みたいな感じでやってくかどうか…みたいなことを考えた時に、「1回会社やめようかな」って思ったんですよ。会社員っていう連続性の中で生きるのやめようかなと。なぜかと言うと、僕はキャリアの最初にひろゆきさんとホリエモンさんに憧れてIT業界入ったのに、全然近づいてない感じがしたんですよね。
関口:はい。
石田:改めて自分の人生見つめ直して、「新卒の時、何やりたいんだっけ」と思った時に、大きいことをやりたいというか、世の中にないものを作ったりとか、そっちの方にモチベーションがあったので。会社の指揮・命令というか、方向性に合わせて自分を変えていくんじゃなくて、「もう何にもないところから、自分の意思で何かやっていこう」という方向に無理やりシフトするために、やめることを決めた。
関口:特に計画はなく?
石田: ゼロです。クライアントもゼロです。
関口:めっちゃくちゃ怖いやつですよね?
石田:そうですね。当時そこそこの給料もあったので、それをもう全くゼロにしようと思って。もう会社から給料をもらうっていうのをゼロにしようと決めて、まずは「辞めます」っていうのを何も決まっていない状態で、1月の前半ぐらいに言って。そっからどうしようかなって考えました。
関口:いや、だって怖いなと思って。ちなみに今の給料ってどれぐらいになるんですか?
独立後の給料は?
石田:当時会社でもらってた時よりちょい良いぐらいの給料なんですけど、実はフリーランス始まって4月の段階でなんとか会社の時の半額ぐらいなんですけど、案件があって。
関口:はい。
石田:税金を払って家賃を払ったら終わるけど、まずはちょっと稼げたら…ぐらいの状況から始まって。
関口:はい。
石田:その時に、いきなり取引先が無くなるかもしれない、という…。僕の案件がって意味じゃなくて、「そもそも(取引先が)ちょっと大変なことになるかもしんない」みたいな感じで、もう必死に営業始めて。なんやかんやあって、3ヶ月目には会社の給料を超えたんですよね。
関口:3ヶ月!早いですね。
石田:はい、なんとか超えて。働く時間もそんなにかけなく超えられて。時間の余裕もあるし、お金は多少会社の時よりちょいぐらいまであるし、ぼーっとしてたんですよね。
関口:はい。
石田:そういう状態になると、人間「暇」になるとダメになるというか。お金あるし、時間はあるけど面白くないなみたいな。
関口:わかります、すごいわかります。
石田:(そういう感じになって)会社を作って、めちゃくちゃ大金持ちになるっていうのも考えたんですけど、あまりそこにモチベーションが湧かなくて…。
石田:そうなった時に立ち返って考えたら、僕マーケティングの仕事をやっていて、いろんなクライアントの商品を売ったりしてる中で気づいたのは、マーケティングって要は「お客さんの商品を効率的に売るための手段」なんですけど。
石田:お客さんの商品を売りたいがために、「お化粧にお化粧を重ねて売る」みたいなこともあったんですよ。で、そうやって一時的にバッと売れても、2ヶ月とかすると一気に売上がドーンて下がったりとかして。「これ、もしかしてマーケティング以前に商品が良くないと売れ続けるの無理なんじゃないかな」って気がついて。
関口:はい。
石田:僕が次トライするのは、マーケティングはもちろんそうなんですけど、世の中に良い商品を生み出していけば世の中のためになるし、僕も理想の世の中に近づけるんじゃないかって思って。世界に広げられるような、良い商品を作りたいって思ったんですね。
石田:考えていった結果、いろんな社長とか大企業の社長の本とかを読んできた時に、商品のこだわりがすごいんですよ。1000億円超えてるぐらい消費者に対して売ってるような会社って、研究開発からものすごいしっかりやってたりとか、工場で自社で作ったりとか、そういう努力もとんでもなくやっていると。ていうことに気がついて、僕がやってないのなんだろうと思った時にR&D※だったんですよね。
※R&Dとは:企業が自社の事業領域において、新しい技術やサービスの開発・研究を行う部門やその機能。
R&Dに着手した結果
石田:R&Dやれるとこ、何かないかなって思っていて。たまたま独立してる時に、大学のOBネットワークとか色々入っていて、そこの繋がりから大学とも接点できて。大学が、いろんな研究を社会に還元していって、研究シーズから事業を作っていくようなディープテックっていうような取り組みにかなり注力していて、「大学発のベンチャーをたくさん増やそう!」みたいなことをしていて、「僕はこれをやりたいんだと」、と思って入った。
関口:ああー!
石田: それで大学に入りました。
関口:それで客員教授みたいなポジションで?
石田: そうですね。
関口:いや、呼ばれないですよ。
石田:本当に接点ができて、僕も時間があったし自分で事業もやってるし。一方で、大学って「そんなにお金払えないんだけれども、時間は結構必要だ」というところで、お互い利益があったというか。(大学側は)ある程度時間を確保できるとはいえ、お金はあんまり払えない。でも、僕は時間があるし「そっちの方がやりたかった」っていう、なんか利害関係があって、いろんな研究者・教授とかの種を世の中に出していきましょうっていう合意が取れたというか。
関口:普通の人達って、お金とかを目的で独立する人が結構多くて。その中で、お金を追いかけないって結構珍しいことだと思ってるんですね。
独立がサラリーマン+副業か
関口:さっき話してたんですけど、「独立したい」って言ってる人って、多分ゴールとか目的ないじゃないですか。石田さんも多分目的なかったと思うんですけど。ぶっちゃけサラリーマンやって副業やってる方が、人生楽じゃないですか。
石田:お金だけを目的にした時に、その方が一番リスクなく稼げるんじゃないかなと僕は思いますね。
石田:フリーランスになってから気づいたのは、やっぱ不安定なんですよ。この月はこれぐらいで、次の月はいきなり2倍とかになったりとか。でもその安定しないんですよね。不安は不安だと思うし、家族持つともっとやっぱりね、重責はあると思うんで。一定の給料ありながら副業でプラスオンした方が、普通にリッチにできんじゃないかなと思います。
関口:精神的には安定しますしね(笑)。
石田:そうそうそうそうそう。
関口:今、東北大だと多分優秀な学生たくさんいるんじゃないかなと思ってて。ネットワークもたくさんあるんじゃないかなと思っていて、どういう領域で今起業したりとかサービス展開してるのかなっていう。(所を聞きたい)
どういう領域で起業・サービス展開しているのか?
石田:えっと、大学にいるからこそやっぱ思うのはディープテックにかなり優秀な人が流れてます。具体的には、AI・宇宙。あとは、新しい半導体とかも含めて、そういったところに学生がより志向するようになってるんじゃないかな、というのは思います。一方で、IT系はちょっと人気なくなってきてる感じがあります。
関口:IT系だとWebとかアプリとか、サービス系が廃れてきて?
石田:そうですね。そっち(IT系)はもう在学中とかで触れちゃうんで。「こんなもんか」、みたいに思うのもあるんじゃないかなと思うんですけど。
関口:成長が止まっている感じがありますもんね。
石田:そういうもっとビッグドリームみたいなところに、学生は志向してるようなイメージはありますね。ドメスティックなところっていうよりは、どちらかというとグローバルに行けるような領域。大企業とかの方が、今は向く方も多いんじゃないかなと思います。
関口:一周回ってそっちへ行ってる?
石田: そうですね。大企業すごいなと思ったのが、ベンチャーとかに出向とかもできたりするんですよ。
関口:ああ、ありますね。
石田:投資しているベンチャーとかに、大企業とはいえいろんな子会社もいっぱいあるんで。様々なキャリア詰めるんで、僕からしても「確かにお得だな」、と思う時はありますね。
先生と学生でタッグを組んで起業?
関口:宇宙とかってちょっと意外ですね。
石田:そうですね。大学の中でも在学中に起業して、宇宙の専門でやってる先生と一緒に起業するみたいな。
関口:先生と学生がタッグ組んで?
石田:はい、やってます。
関口:その動きって、全国の大学を見ていても増えているんですか?
石田:僕がいる大学は先駆けの方ですね。ですけど、これから結構増えてくんじゃないかなと思いますね。
関口:なんかAIだと、多分一番松尾研究会とか?
石田:東大とか?
関口:はい。もうあの辺はバリバリかなと思うんですけど。事例としては、増えているんですかね?
石田:学生が、より投資がものすごく必要な産業に張っていくっていう動きは明らかに増えてますし、その方が資金調達を大きくできてるイメージはありますね。
関口:熱量と、そこをカバーする知識とか経験とかっていう。それって教授側からしたらどんなメリットがあるんですか?
石田:大学が今考えてるのは、「科研費」って言われる文部科学省とかが出してるお金ってのはシュリンクしているんですよね。産学連携とか、企業とのコラボレーションで共同研究とかする動きっていうのはすごく盛んなんですけど、ベンチャーはその1個の手段かなと。
石田:要は「研究領域をより深めていく時に事業って形で関わる」、そういう選択肢なので、大学の先生が辞めてっていうよりは、副業的に関わるっていう感じです。
関口:あ、そういうことなんですね。
石田:副業的に…例えば、監修みたいな形で関わるっていうのは、どちらかというとメジャーですね。
関口:では、メインでやるのは起業した学生とか。
石田:そうです。
関口:「やりたいことがある」っていうそっちがメインで、(教授は)パパですかね?
石田:特許とかがあるので、その特許とかを生かしてもらうとか。
関口:あ、なるほど。
石田:どちらかというと、そういう関わりですかね。
関口:もしかしたら、ゼミ内でも行われているとしたら。
石田:そうですね。大学の先生忙しいので、本当にコミットするっていうのは結構稀なケースだと思うんですけど。とはいえ、やっぱり参入障壁ってすごい大事じゃないですか。各事業においては。その参入障壁を作る一つの手段として、大学の知財だったり研究っていうのがオプションとしてあるっていう感じですね。
関口:これ、石田さんが新しく教授となんかやるっていうのは…?
石田さんと教授とで行う新たな計画
石田:教授というか、先生と一緒にやるっていう計画はもうありまして。僕自身は元々「大学の中でそういったディープテックのベンチャーを増やしていく」というところがミッションであったので。専門の職業だったので、僕自身も会社を作っていくっていう方向に…。
関口:で、フリーランスから社長へ。
石田:そうですね、はい。一応、来年ぐらいかなと思ってるんですけど…。そういうちょっとキャリアですかね?になって行くかなと。「フリーランスでずっとやっていこう」っていう気持ちは元々ないですね。
関口:熱量的にも 、連続性を止めようという選択肢はないので。
石田:そうですね。一回、自分のキャリアの延長上で生きるのを辞めようと思ってフリーランスっていう。ちょっと、なんて言うんでしょうね、世間の外れ者みたいな形になってみて。で、そっからまた起業っていう方向になろうと思ったんで。
関口:そしたらもう、会えなくくなりそうですね(笑)忙しすぎて。
石田:しばらくメディアとか、こういった領域には全然いますので。将来的には、割合が変わるかもしれないですけどね。
関口:次は何て言えばいいんだろう、社長ってお呼びするのか。
石田:いやいや、普通に。普通にしてください(笑)。
関口:先生とお呼びすればいいのか(笑)
石田:全然大した者ではないんすが…。でもお伝えしたかったのは、僕自身も1年とか2年前には、今の自分は全く想像できなかったんですけれども、「想像できてないキャリアって描けるもんなんだな」っていう風に身を持って体感したので。
石田:想像力を発揮して「自分はこれできない」とか思わないで、一回やってみるっていうのはとても大事なことかなと思いますね。
関口:怖いですね(笑)
石田:はい。 僕もそのいわゆるアカデミアっていう世界に、もう何にも知らない状況で入っていって、なんとかやってきたとこはちょっとあるので。できてるかはわかんないですけど、意外と新しいこともこの30代超えてもどんどんやっていけば、意外と面白いことになるんじゃないかと思ってます。
関口:最後に採用したい人とかって、なんかあります?
必要な人材とは?
石田:メタバース領域にもちょっと進出し始めてるので、そういったメタバースの領域で、例えばいろんなコミュニケーションのアプリとかあると思うんですけど、そういうのに興味ある方・そこでワールドを作りたい方、そういう方に色々お会いしたいなという時期です。
石田:他にも、メーカーの方で商品開発に関わっていらっしゃる方、特に工場とか製造ラインとかも含めて関わっている方とか、新商品企画しているような結構大きめのプロジェクトでやってる方には、ぜひ色々とお話聞きたいなという風に思っています。
関口:そういう方が居れば、僕も繋ぎますね。
石田:はい、ありがとうございます。
関口:では時間になったので、これで終わりにさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。
石田: はい、ありがとうございました。