在庫とキャッシュのバランスに悩むD2C
関口:一気にその数年間 とか成長してるD2C系をやってる人たちが抱えるのが、「在庫とキャッシュのバランス」。
関口:「黒字になるかならないか」「調達するか、でも間に合わない…」みたいな。だからこそ起きるとは思うんだけど、在庫とキャッシュのバランスについて苦労したみたいなとこってあったりする?
藍沢:あるある。それこそD2Cとかだと先に発注するし、広告費も先にかけて後から定期通販で回収していくってモデルだから、要は在庫抱えるにしろお客様を多く獲得すにしろ、キャッシュはバンバン出てく わけよ。
関口:はい
初めての成功と予想外の在庫切れ
藍沢:うち(mogumo)で言うと、まず最初の半年くらいがインフルエンサーマーケで獲得が順調だったと。それで当時が2時間で2000件とか発注が入っちゃって。
関口:やばいね。2時間で2000件。
藍沢:そう。それでその月の在庫が一気に捌けて、俺も代表も初めてD2C食品のサブスクやってたから、そもそもサプライチェーンをどうやって作っていくのかわかっていなくて。
藍沢:その時は、「あっ、2時間で2000件!わーい」って感じだったんだけど…。
関口:在庫なくなった!みたいな?
藍沢:そう。しかもこれ、単品ならいいんだけど定期購入だから来月に発送する分もないのよ。お客様にめっちゃ謝って「すいません!」って。
関口:人気すぎて在庫が切れました!みたいな?
藍沢:ひたすらお詫びのメール送ったりとか。
関口:大体謝ってばっかりの人生じゃん。
キャッシュアウトの危機
藍沢:謝ってばっか。在庫購入して、思っよりも膨れると。当時のキャッシュ、要は残キャッシュだよね。それが3000万円ぐらいなんだけど、仕入だけで毎月1500万円飛んでいくみたいな。
関口:それ、1ヶ月?1ヶ月で1500万円出ていくの?広告費を入れたら、トントンみたいな?
藍沢:そう。しかも毎月毎月発注量が増えてくから、「これヤバくない?」ってなって。2022年5月5日にmogumoをリリースしたんだけど、9月ぐらいにキャッシュアウトした。
関口:待って、2022年…何ヶ月で?
藍沢:4ヶ月後。来月に預金なくなる、みたいな。その時なにもわかっていなかったから、「でも先月2000万円ぐらいあったじゃん?」「 なくなるの?もう」って。調達するにしても時間かかる。ヤバい、終わったじゃんみたいな。倒産じゃん。てなったんだけど…。
運命の出会いと資金補填
藍沢:その時に、今のmogumoの株主で福岡に株式会社オモヤっていうD2Cやってる会社があって。そこはもう、起業から10年くらいの会社で1人社長みたいなオーナー企業で。
関口:はい
藍沢:売上120億円の利益11億円みたいな。
関口:東京でよくある化粧品会社とかのバケモノみたいな会社だね。
藍沢:たまたまそこの会社が、代理店機能もあってその代理店さんに広告の相談をしに行ったの。 そのタイミングでたまたま社長さんが、ふら~っと通って「何やってんの?」って声かけてくれて。
藍沢:「自分たち、今こういうプロダクトやっていて…」ってプレゼンして、(株式会社オモヤの)社長が「めっちゃいいじゃん!今、調達とかやってないの?」って聞いてくれて。(藍沢)「調達してるんです。来月には5000万円くらい必要で」って伝えたら、社長が「あぁ、今振り込むよ」って言ってくれた。
関口:そんなことある?!
藍沢:出会って3分くらいで5000万円即決してくれて、危機を乗り越えた。そこからは、チャンと資金繰りとか発注量管理しなきゃっていうので、(在庫とキャッシュのバランス)を取り組み始めた。
関口:なるほどね。そんな3分で数千万円が決まる世界線があるんだ。
藍沢:あんまりないと思うんだけど、運が良かった。
関口:本当に偶然、というかずっと探していたから?元々顔見知りとか?
藍沢:全然、初対面。
関口:初対面なんだ。
数分で数千万円を即決させた要因とは
(スタッフ:それはサービスの引きが強かったのか、それとも藍沢さんの人間性なのか、そのあたりだとどうなんですか?)
藍沢:もちろんサービスというのもあるし、(mogumoの)2人で商談していたんですけど、なんとなくこの2人が、その会社(株式会社オモヤ)にいない感じの雰囲気。ま、こんなんだから(自身のスタイルについて)。なので、面白がってもらっているのはあると思います。
関口:サービス作って調子いいのに、4ヶ月でキャッシュアウトしかけるのはヤバイよね。
(スタッフ:こないだの大島さんもそうですけど、頑張ってる人の元にはそういうのがあるんですね。)
関口:そうだね。
藍沢:毎月出して3〜4時間で売り切れるのに潰れるんだと思った。
関口:あぁ、終わるんだぁっと思って。その規模だと、多分買い取ってくれるところもあるんだろうけど、すごい低い額で買い取られそう。
藍沢:まだ当時はユーザー数も積み上げられていないから。
関口:そんな感じだと、そこから伸びるけど。本当に競合らしき競合はあんまりいなかったのでは?例えば、幼児職の領域をやっているところなら、やっぱり全然バッティングしなかった?
競合他社について
藍沢:mogumoは、それでいうと後発組。「mogumoが幼児食のスタートアップを1番最初やったか?」っていうと、そうではなくて。
関口:違うんだ!
藍沢:もう最初に先行しいてる会社が2~3社あって。そのサービスを勉強させてもらって、後追いで始めた。いまだに競合とかは出てきてはいる。
関口:いるんだ。
藍沢:スタートアップもそうだし、ハウス食品みたいな大手も参入してきている。「よくやるなぁと思う」。
関口:でもユーザーとして使っている人が、理にかなっているというか「ちゃんとヒアリング作ってんだろうな」と言っていて「そんなことあんだ」と。ちゃんと伸びてるとこって理由あるんだなって。
起業家の奮闘と成長のきっかけ
藍沢:でも、結構大変よ。冷凍だから、配送料も原価率もめちゃ高いから大変だなと思う。
関口:原価率50%とか言っちゃう可能性とかもある?そこに広告費のっちゃうと、殆ど利益にならないみたいな。なんでキャッシュアウトしかけるのにさ、会社作ったりすんだろうね。マジで。
藍沢:何なんだろうね。
関口:何なんだろうね。ギャンブルやっているだけだよね。
藍沢:よくやるなと思う。
関口:本当だよね。平和に生きたいと思うもん。
藍沢:いや、思ってないでしょ?
関口:いや思ってるよ。「平和に生きてぇなー」と思った結果、これが最適かなぁって悩んでいたら、また全部失敗し てるだけですよ。
藍沢:たくぽんが平和だったこと、1回もないと思う。10年ぐらいの付き合いだけど。
関口:先月ぐらいだよ。先月ちょっとだけ心が一瞬穏やかだった。「こんな晴れ晴れした日はねぇ」って。
藍沢:何があったの?
関口:いや、何もない。ふと思った「ここ最近で1番穏やかだな」みたいな。こうやってね、顔出してね何かやるのも、みんなの備忘録?そういうのって、絶対面白いと思うんだよね。こういう話とかってさ。みんなで聞いてたり、居酒屋と話してるネタなのに誰も表に出さないじゃん。
藍沢:出しちゃいけないんじゃない?
関口:いや、違うでしょ!だって皆、結構喋ってんじゃん。絶対みんなお喋りだと思うからさ。
藍沢:でも、俺もそれで前職の時さ、採用やったじゃん。
関口:うん。
藍沢:言っちゃいけないこと言って、めっちゃ怒られたから。新しく出る新商品・新サービス話とかさあ。
関口:あぁ!新卒の説明会でちょっとポロっと言っちゃったみたいな。
藍沢:めっちゃ怒られるから。そういう話ばっかなんじゃない?居酒屋の話って。
関口:あ、そうそういうことか。今すごい伸びてるスタートアップとかサービスとして注目されていて、そんな状態になれたのには何かあったのかなと思って。多分D2Cやってる人とかだったら気になるんだろうなと思って。
藍沢:うん。初期で言うと、まず1番最初にプロダクト出す前に…(続く)