サーチコンソールの生成AIレポートとは?77万表示の実測データで解説

自社サイトがAIによる概要(AI Overviews)※1 やAIモードに何回表示されたのか——これまで推測するしかなかった数字が、Search Consoleの新レポート「生成AI」で公式に確認できるようになりました。まだ一部のサイトにしか開放されていないベータ版ですが、当社が支援に関わるサイトの一つでは既に閲覧でき、3ヶ月で77.3万回という表示実績が確認できました。
結論を先に述べます。このレポートで分かるのは「AIにどれだけ引用されているか」であり、分からないのは「そこから何人来たか」です。クリック数は仕様として提供されません。つまりこのレポートは、流入計測の道具ではなく、AI検索時代の「露出資産の棚卸し」の道具です。この記事では実データのスクリーンショットを示しながら、確認手順・読み方・数字が出なかった場合にやるべきことまでを解説します。
何が始まったのか(機能の事実整理)
Googleが2026年6月に発表した、Search Console内の新しいパフォーマンスレポートです。要点は5つに集約されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | 検索パフォーマンス >「検索結果」配下の「生成AI」(Discover配下にも同名レポート) |
| 分かること | 生成AI機能(AIによる概要・AIモード)での表示回数。ページ / 国 / デバイス / 日付別 |
| 分からないこと | クリック数・掲載順位・クエリ(通常レポートにある指標の大半が無い) |
| データ開始日 | 2026年5月18日(それ以前には遡れない) |
| 開放状況 | 段階的ロールアウト中。左メニューに「生成AI」が無ければ未開放 |
(出典: Google Search Central Blog 2026年6月・Search Consoleヘルプ)
まず自社のSearch Consoleを開き、左メニューの「検索結果」の下に「生成AI」の項目があるかを確認してください。あるかないかで、この記事の読み方が変わります。
実データ: 3ヶ月で77.3万表示の中身

開放済みサイトの実画面から読み取れたことは3つあります。
1. 表示規模は「無視できる量」ではない。 3ヶ月で77.3万回、1日あたり約9,000〜15,000回、生成AIの回答内に表示されていました。検索結果の通常表示とは別枠の見え方で、この規模の露出が既に発生している——これが2026年の検索の現実です。
2. 表示は一部のページに極端に集中する。 上位1記事だけで141,192回、全体の約18%を占めていました。AIは「サイト」を引用するのではなく「ページ」を引用します。どのページがAIに選ばれる資産なのかが、URL単位で特定できるようになったことがこのレポートの最大の価値です。
3. 表示には曜日パターンがある。 グラフには約7日周期の谷があり、週末に表示が落ちていました。このサイトはビジネス系のテーマが中心で、通常検索と同じ「平日型」の需要構造が生成AI経由でも再現されています。AI検索が特殊な流入経路なのではなく、既存の検索需要の一部がAI回答面に移ったと解釈するのが自然です。
結論から述べます。18%を占めた上位ページは、一次データを載せた解説記事でした。AIに引用されるのは「上手い文章」ではなく「引用せざるを得ない固有の情報」です。この傾向は当社の他の検証とも一致しています。
レポートで何ができるか(実務での使い方)
このレポートは「流入の計測」ではなく「AI引用資産の特定」に使います。見るべきは合計値ではなく上位ページです。
- AIに引用されるページの特定: 「ページ」タブを表示回数順に見る。上位に来たページが、自社の「AI検索時代の資産」。テーマ・構成・データの持ち方を分析し、他ページに横展開する
- リライト優先順位への反映: 通常検索の順位が低くても生成AIでの表示が多いページは、安易に統合・削除しない(見えない露出を捨てることになる)
- デバイス・国の確認: 法人向けならデスクトップ比率、越境なら国別。想定読者とAI表示面がズレていないかを見る
- 時系列の監視: 2026年5月18日からデータが貯まり続ける。月次でエクスポートし、AI表示回数の推移を定点観測に加える
まだ開放されていないサイトでも、やるべきことは変わりません。開放された瞬間に「過去分」は見えないため、今のうちに引用されやすいページを作っておくことが先行投資になります。具体的には、1つの段落に1つの主張と数字をまとめ、出典を明記する書き方です。当社のSEOコンサルティングでも、2026年以降はこの「AI引用を前提とした設計」を標準に組み込んでいます。
正直な注意点(このレポートで分からないこと)
表示回数だけで「効果があった」とは言えません。限界を5つ明記します。
- クリック数が無い。77.3万表示が何人の訪問を生んだかは、このレポートでは一切分かりません。AI回答内の表示は、そもそもクリックを前提としない露出です
- クエリが分からない。どんな質問への回答で引用されたのかは見えません。ページ単位の逆算が必要です
- AIによる概要とAIモードの内訳は分けられない。両方を含む「生成AI機能」の合算値のみです(公式ヘルプ・2026年7月22日時点)
- 通常レポートと足し算してはいけない。このレポートの表示回数は、通常の検索パフォーマンスレポート(ウェブ検索)に既に含まれている数字の切り出しです。「通常+生成AI」を合計すると二重カウントになります
- ベータ版で仕様が変わり得る。集計定義・対象機能は今後変更される可能性があります。月次比較は仕様変更のアナウンスとセットで行ってください
効果への接続は、間接指標で補完します。海外ではSimilarwebのパネル調査「The Downstream Impact of AI Visibility」(2026年6月)が「AI回答でブランド推薦を見た利用者は、その後7日以内の直接訪問が最大14.2%増える」という行動データを公表しており、AI表示 → 指名検索・直接訪問という経路で効果を追うのが現時点の現実解です。計測手段の全体像はLLMOの効果測定の解説記事で整理しています。
「AIに77万回表示されました」という報告だけなら、数字の見栄えが良い営業資料にしかなりません。私はこの数字を、指名検索と直接訪問の推移に突き合わせて初めて「効果」と呼びます。計測の作法を省いた成果報告は信用しないでください。
今後の勝ち筋(時系列で整理)
検索の計測は「順位とクリック」の時代から、「表示と言及」を含む時代に移っています。順序立てると次のようになります。
- これまで: 順位・クリック・クリック率で計測が完結していた
- いま: AI回答面での表示が公式に計測可能になった(本レポート)。ただしクリックの概念が無い
- これから: 表示データ × 指名検索 × 直接訪問を突き合わせる計測設計が標準になる。データは2026年5月18日から蓄積が始まっており、開放を待つ間にも「引用される記事資産」を作った会社から差がつく
まとめ
- Search Consoleの新レポート「生成AI」で、AIによる概要・AIモードでの表示回数が公式に確認できるようになった(ベータ版・段階的開放中)
- 実測では3ヶ月で77.3万表示。上位1記事が全体の約18%を占め、AIに引用されるのは「一部の、固有情報を持つページ」だった
- クリック数は提供されない。流入計測ではなく、AI引用資産の特定と定点観測に使うレポートである
- データは2026年5月18日以降のみ。未開放のサイトも、引用されやすいページ作りを先に始めるべきである
用語について
- ※1 AIによる概要(AI Overviews): Google検索結果の最上部に表示される、AIが生成した回答枠。日本では「AIによる概要」の名称で表示される。関連して「AIモード」は、検索結果全体を対話型のAI回答に切り替えるGoogleの機能。
出典
- Google Search Central Blog「Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console」(2026年6月)
- Google Search Consoleヘルプ「Generative AI performance report (Search)」
- Similarweb「The Downstream Impact of AI Visibility」(2026年6月)
- 実データ: 当社が支援に関わるサイトのSearch Console「生成AI」レポート(2026年7月22日取得・サイト名/URLは非公開)
執筆者
関口 拓人
代表取締役
早稲田大学在学中にメディアを立ち上げ、ゲームエイト創業に参画。リクルートを経てゲームエイト執行役員、インフラトップCMOを歴任後、独立。月間数千万円売上の自社サイト立ち上げを含む、累計50サイト以上のマーケティング支援実績を持つ。
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