LLMO・AI検索対策12分で読める

検索の半数がAI Overviewに——大規模調査3本で見えたクリック率の実態

検索の半数がAI Overviewに——大規模調査3本で見えたクリック率の実態

Google検索の約48%で、AI Overviewが表示されるようになりました。1位に表示されていてもクリック率は最大58%低下する——そんなデータが複数の大規模調査から出ています。

ただし、この話には「続き」があります。24.3億インプレッションを分析したSeer Interactiveの調査では、一度落ち込んだクリック率が85%回復した時期もありました。

「AI Overviewが増えた=SEOは終わった」という単純な話ではありません。3つの大規模調査を突合して、BtoB企業がいま判断すべきことを整理します。

AI Overviewは検索の約半数に

BrightEdgeが2026年2月から3月にかけて9業界のクエリを追跡したところ、AI Overviewの出現率は48%に達していました。前年同期比で58%の増加です。

ただし、すべてのクエリに等しく表示されるわけではありません。Seer Interactiveが53ブランド・547万クエリ・24.3億インプレッションを分析した2026年版レポートによると、クエリの種類によって出現率に大きな差があります。

クエリの種類AI Overview出現率
比較クエリ(「A vs B」)95.4%
レビュー系クエリ86.3%
質問形式のクエリ85.9%
価格・費用系クエリ83.4%
単一キーワード27.3%
情報系クエリ(全体)36%
商用・取引系クエリ5〜8%

出典: Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」(2026年4月公開。データ期間: 2025年1月〜2026年2月)

注目すべきは、BtoBの発注者が使うクエリに近い「比較クエリ」「価格・費用系」でAI Overviewの出現率が80%を超えている点です。たとえば「SEO会社 比較」「コンテンツマーケティング 費用」のような検索で、AI Overviewが表示される可能性は高い。

一方、単一キーワード(「SEO」など)では27.3%にとどまり、取引系(「申し込み」「購入」など)では5〜8%です。AI Overviewは「調べもの」のクエリに集中しており、検討段階の検索を重点的にカバーしている構造が見えます。

関口拓人
関口拓人

BtoBの検討段階——「比較」「費用」「評判」——で80%超がAI Overviewに覆われている事実は重い。見込み客が「どこに頼むか」を調べるクエリで、従来の1位表示の意味が変わっています。

クリック率はどう変わったか

AI Overviewが増えた結果、オーガニック検索のクリック率はどうなったのか。3つの大規模調査のデータを並べます。

Ahrefs: 1位表示のクリック率は58%低下

Ahrefsの調査(初版2025年4月・更新版2026年)では、AI Overviewが表示されたクエリで1位表示のクリック率を計測しています。

  • 初版(2025年4月): AI Overview表示時、1位のクリック率は34.5%低下
  • 更新版(2026年): 同条件で58%低下——悪化が進んでいる

1位に表示されていても、AI Overviewが回答を提示した時点で、クリックの半分以上が消える計算です。

Seer Interactive: 65%下落→85%回復

Seer Interactiveのデータは、もう少し複雑な動きを示しています。

  • 2025年1月: AIO表示時のオーガニックのクリック率は1.76%
  • 2025年9月: 0.61%まで低下(65%の下落)
  • 2026年2月: 2.4%まで回復(85%の反発)

「65%下がった」だけを切り取ると絶望的に見えますが、その後に85%の回復が起きている。ただし、この回復の要因についてSeer Interactive自身が注意を促しています。「ブランドのSEO改善によるものか、Google側のアルゴリズム変更によるものかは、アカウント単位で調査しないと切り分けられない」——つまり、すべてのサイトで同じ回復が起きたとは限りません。

なお、AIO非表示のクエリでもオーガニックのクリック率は改善しています(2.8%→3.8%)。全体的な検索行動の変化である可能性もあります。

引用されるかどうかで差がつく

Seer Interactiveの調査で最も示唆に富むのは、AI Overviewに引用された場合とされなかった場合のクリック率の差です。

条件オーガニックのクリック率
AI Overviewに引用あり2.07%
AI Overviewに引用なし0.94%
AI Overview非表示3.35%

AI Overviewに引用されたサイトは、引用されなかったサイトの2.2倍のクリック率を得ています。ただし、AI Overviewが表示されない場合(3.35%)と比べると、引用されてもなお38%低い

関口拓人
関口拓人

「AI Overviewに引用される」ことがSEOの新しい勝ち筋だ、という見方は方向として正しい。ただし、引用されてもクリック率は以前より4割弱低い。引用される=以前と同じトラフィックが来る、ではありません。期待値を正しく持つことが判断の出発点です。

3調査を突合して見えること

3つの調査は方法論が異なります(Seer InteractiveはGoogle Search Consoleの実データ、AhrefsはSERP監視ツールのクリックストリームデータ)。それでも一致する結論と、矛盾する部分があります。

一致している結論:

  • AI Overviewが表示されると、オーガニックのクリック率は下がる。低下幅は概ね34%〜58%の範囲
  • クエリの種類によってAI Overviewの出現率は大きく異なる。情報系・比較系に集中し、取引系には少ない
  • 「引用されるかどうか」がクリック率を大きく左右する

注意が必要な矛盾:

  • Ahrefsはクリック率の低下が悪化傾向(34.5%→58%)と報告。一方、Seer Interactiveはクリック率が回復傾向(65%下落→85%回復)と報告。時期・手法・対象ブランドの違いが原因と考えられるが、どちらが「現在の真実」かは断定できない
  • 普及率もBrightEdge(48%)、Advanced Web Ranking(60%超・米国)、Semrush(2025年データで15〜25%)と調査によって開きがある。測定するクエリセットと検出手法の違いが大きい

どちらを信じるべきかではなく、両方の可能性を想定した上で判断することが実務上は正解です。

Google公式ドキュメントの変化

Google自身は、AI Overviewについてウェブサイト運営者にどんなメッセージを出しているのか。公式ドキュメントの変遷を確認します。

AI Overviewが公開された2024年5月、Googleは「AI Overviews and Your Website」というドキュメントを公開しました。当社がWayback Machineで初版(2024年5月16日)と現行版(2025年12月10日最終更新)を照合したところ、以下の変化がありました。

項目初版(2024年5月)現行版
タイトル「AI Overviews and Your Website」「AI Features and Your Website」
URL/appearance/ai-overviews/appearance/ai-features(301転送)
対象範囲AI OverviewsのみAI Overviews + AI Mode
技術説明なし「query fan-out」※1の説明を追加
llms.txt※2への言及なし「AIテキストファイルやマークアップを作成する必要はない」と明示

変化を一言でまとめると、Googleは「AI Overview」という一機能の話から「AI Features」という包括的な枠組みに拡張した。タイトルとURLを変えてまで範囲を広げたということは、AI Modeを含むAI機能が検索結果に介入する範囲は今後さらに広がる前提でドキュメントを整備しています。

同時に、「query fan-out」(関連する複数の検索を自動発行して、より広く多様なリンクセットを表示する仕組み)の説明を加え、「AIテキストファイルは不要」と明記しました。Googleが言っていることを額面通り受け取ると、特別な対策は不要で、良いコンテンツを作れば自動的に拾われる——これが公式見解です。

関口拓人
関口拓人

「特別な対策は不要」というGoogleの公式見解と、「クリック率が最大58%下がった」という調査データは、矛盾しているように見えて実は矛盾していません。Googleは「掲載される方法」の話をしていて、調査データは「掲載された後のクリックの話」をしている。掲載はされるが、クリックが減るという構造です。

注意点と見落としやすいリスク

AI Overviewのクリック率データを読み解くとき、見落としやすいポイントがあります。

1. 「回復」は全員に起きたとは限らない

Seer Interactiveの85%回復は53ブランドの集計値です。調査レポート自体に「ブランドのSEO改善によるものか、Google側の変更によるものかは、アカウント単位で調査しないと切り分けられない」とただし書きがあります。さらに、ある1アカウントが「引用なし」セグメントのインプレッションの47%を占めており、集計結果を偏らせている可能性も自ら指摘しています。

2. 日本市場のデータは存在しない

3調査はいずれも英語圏(主に米国)のデータです。日本語クエリでのAI Overview出現率やクリック率への影響の大規模調査は、2026年8月時点で公開されているものがありません。日本のAI Overview展開は米国より遅れており、出現率48%がそのまま日本に当てはまるとは限りません。

3. 「クリック率」と「流入数」は別の話

AI Overviewの出現によって検索の総量自体が増えている可能性があります。クリック率が下がっても、分母(検索回数)が増えれば、絶対的なクリック数は維持または増加することもありえます。特にロングテールクエリでは、AI Overviewの「query fan-out」によって以前は存在しなかった検索経路からのクリックが生まれている可能性もあります。Google Search Consoleの実数(クリック数の推移)で確認するのが正確です。

4. 2026年6月からオプトアウトが可能に

Googleは2026年6月にSearch Consoleでオプトアウト機能を提供開始しました。AI OverviewやAI Modeに自社コンテンツが表示されないようにする設定です。ただし、通常の検索結果やDiscoverには影響しないとしています。オプトアウトすれば表示回数とクリック率の低下は止まりますが、AI機能経由の露出はゼロになります。現時点では、この判断を正しく行うためのデータ(AI機能経由の実クリック数)がSearch Consoleで十分に提供されていない※3のが課題です。

関口拓人
関口拓人

もし「AI Overview対策」としてSEO施策の変更を提案されたら、提案の根拠を確認してください。この記事で紹介したSeer InteractiveやAhrefsのデータすら見ずに、「AI時代のSEO」と称して何かを売り込んでくる場合は、根拠のない話です。

BtoB企業がいま判断すべきこと

3調査のデータを踏まえて、BtoB企業の経営者・マーケティング責任者が判断すべきポイントは3つです。

1. 自社のSearch Consoleで「実際に何が起きているか」を確認する

海外の調査データは参考になりますが、自社への影響は自社のデータでしか分かりません。Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、主要クエリのクリック数・表示回数・クリック率の推移を3〜6ヶ月のスパンで見てください。2026年6月以降に追加された「生成AI」の検索での見え方フィルターも確認する価値があります(ただし、先述の通りクリック数が十分に見えない制約があります)。

2. 「引用される」ことを前提に記事の書き方を見直す

Seer Interactiveのデータでは、AI Overviewに引用された場合のクリック率は引用されなかった場合の2.2倍でした。引用されやすいコンテンツの特徴は、当社が過去の記事で詳しく解説しています(llms.txtの要否とGoogle公式見解クロールバジェットのGoogle公式更新)。要点は「1パッセージ=1主張の塊で書く」「一次データを持つ」「出典を明示する」の3点です。

3. オプトアウトは「今は様子見」が合理的

現時点でオプトアウトを判断するには、AI機能経由の実クリック数が不十分です。表示回数だけが見え、クリックの内訳が見えない状態でオプトアウトすると、盲目的に露出を捨てることになります。Search Consoleのデータが充実するまでは、オプトアウトせずにデータを蓄積し、判断材料を集めることを推奨します。

まとめ

  • Google検索の約48%でAI Overviewが表示されるようになった。特に「比較」「費用」「レビュー」などBtoBの検討段階に関わるクエリでは80%を超える
  • 1位表示のクリック率はAI Overview表示時に34.5%〜58%低下する(Ahrefs)。一方で2026年初頭に85%の回復も観測されている(Seer Interactive)
  • AI Overviewに引用された場合のクリック率は、引用されなかった場合の2.2倍。引用されることが新しい勝ち筋になりつつある
  • Googleは公式ドキュメントのタイトルを「AI Overviews」から「AI Features」に拡張した。AI機能が検索結果に介入する範囲は今後さらに広がる
  • 日本市場のデータはまだ無い。海外調査の傾向を参考にしつつ、自社のSearch Consoleで実態を確認することが出発点

用語について

※1 query fan-out(クエリ・ファンアウト): AI OverviewやAI Modeが、ユーザーの検索クエリから関連する複数の検索を自動的に発行し、より多様なウェブページを発見する仕組み。Googleが公式ドキュメントで技術名として記載している。

※2 llms.txt: 大規模言語モデル向けにサイトの情報を構造化して提供するテキストファイルの提案仕様。robots.txtのAI版のような位置づけで提唱されたが、Googleは公式に「作成する必要はない」と明示している。詳しくは当社記事「llms.txtの要否とGoogle公式見解」を参照。

※3 Search Consoleの「生成AI」フィルター: 2026年6月に追加された検索パフォーマンスレポートのフィルター。AI OverviewやAI Mode経由の表示回数を確認できるが、クリック数の詳細な内訳は現時点で十分に提供されていないとする指摘がある。

出典

Service

SEOコンサルティング

AI検索時代の集客設計もSEOコンサルティングの範囲。llms.txt整備からAI検索での引用獲得まで、実測データに基づいて支援します。

サービス内容を見る

Contact

まずは無料相談

貴社の課題に合わせた最適な打ち手を、無料でご提案します

無料相談はこちら

Related

GEO・AEO・LLMOの違い──Microsoft公式ガイドから「AEO」が消えた

GEO・AEO・LLMOの違い──Microsoft公式ガイドから「AEO」が消えた

Microsoft ClarityでAI検索の引用が無料で見える──日本33社の導入率は3.0%

Microsoft ClarityでAI検索の引用が無料で見える──日本33社の導入率は3.0%

ChatGPT検索に自社サイトを出す方法——国内61社の対応率を実測

ChatGPT検索に自社サイトを出す方法——国内61社の対応率を実測

まずはお気軽にご相談ください

貴社の課題に合わせた最適なマーケティング戦略をご提案します