STUDIOはSEOが弱い?205サイトのHTMLを実測して分かった「91.2%が中身ゼロ」問題

「STUDIOはSEOに弱い」という記事と、「STUDIOはSEOに強い」という記事が、どちらも自信満々に存在します。両方読んでも判断がつかないまま、自社サイトの検索流入は増えない。
この状況に決着をつけるため、議論ではなく実測をしました。
STUDIO公式サイトが「制作実績」として掲載しているサイト205件のHTMLを、GooglebotのUser-Agentで取得し、中身を1件ずつ数えました。 さらにAhrefsで各サイトの実際の検索流入とランクインキーワード数を突き合わせ、Googleの公式見解やVercelの大規模検証とも照合しています。
結論から書きます。
205件のうち187件(91.2%)は、Googleが最初に受け取るHTMLに本文が1文字も入っていませんでした。 見出しも、内部リンクも、画像タグも、ゼロです。
そして、この91.2%の中には大手電機メーカー、上場SaaS企業、大学、自治体の事業サイトが含まれています。「大手なら大丈夫」も「有料プランなら安心」も、実測は支持しませんでした。
目次
- 結論:広告・名刺代わりのHPなら優秀。検索流入を取るなら別の土俵
- あなたのサイトはどっち側か(30秒で診断)
- 実測①:205件中187件が「可視テキスト0字」
- 実測②:DR76なのにキーワード0件という実害
- STUDIOでやるべきSEO設定を一通り
- 設定を全部やっても、順位が来ない理由
- 反論への回答:「GoogleはJavaScriptを読めるのでは?」
- 「HTMLが空」で実際に失われるもの
- 配信基盤の判別と、4.5MBのJavaScript
- 大手・上位プランなら安全か
- 直すか、移管するか
- WordPress・他CMSへ移管する場合の構成・期間・費用
1. 結論:広告・名刺代わりのHPなら優秀。検索流入を取るなら別の土俵
先にこの記事の立場を書きます。STUDIOは悪いツールではありません。
広告の遷移先として1枚もののLPを短期間で作りたい。展示会やプレスリリースの期日に合わせてコーポレートサイトを立ち上げたい。デザイナーが自分の手で、意図した見た目を崩さずに公開・更新したい。——こうした目的なら、STUDIOは選択肢の中でかなり優秀です。デザインの自由度と公開までの速度、公開後の運用のしやすさは、同じことをWordPressでやるより明らかに速い。流入の主軸が広告・SNS・営業活動にあるサイトなら、この記事の内容は当てはまりません。
問題が出るのは、検索流入を事業の柱にしたい場合だけです。そしてその場合にSTUDIOが抱えているのは、設定でカバーできる弱さではありません。Googleが最初に受け取るHTMLに、本文が1文字も入っていないという構造的な弱さです。実測した205件のうち187件(91.2%)がその状態でした。
つまりこの記事は「STUDIOを使うな」という話ではなく、「自社サイトが91.2%側に入っているなら、検索で戦うには土俵を変える必要がある」という話です。まず自社がどちら側なのかを確かめてください。
2. あなたのサイトはどっち側か(30秒で診断)
推測で議論しても意味がありません。自分のサイトがどちらかを確認してください。専門知識は不要です。
手順1:「ページのソースを表示」する
サイトを開き、右クリック →「ページのソースを表示」。Chromeなら URL欄に view-source: を付けてアクセスしても同じです。
開発者ツール(検証・Inspect)ではなく、必ず「ページのソースを表示」を使ってください。 開発者ツールが表示するのはJavaScript実行後の状態であり、Googlebotが最初に受け取るHTMLとは別物です。ここを取り違えると「ちゃんと中身がある」と誤診します。この誤診が、STUDIOのSEO議論が噛み合わない最大の原因です。
手順2:本文の一節を検索する
ソース上で Ctrl+F(Macは Cmd+F)を押し、ページに表示されている本文の一節をコピーして検索します。
- 見つからない → 空HTML群(91.2%側)です
- 見つかる → SSR群(8.8%側)です
手順3:見出しとリンクを数える
同じくソース内で <h1 と <a を検索します。0件、あるいは極端に少なければ空HTML群です。
手順4:Search Consoleで裏を取る
「URL検査」→「クロール済みのページを表示」→「HTML」タブ。ここに表示されるのがGoogleが実際に取得したHTMLです。手順2と同じ検索をして本文が見つからなければ、Google側でも中身を認識できていない可能性が高いと判断できます。
あわせて、noindex による除外が発生していないかも確認してください。STUDIOではページ単位でnoindexを設定でき、意図せず有効になっているケースが実際に報告されています。
自社サイトのHTMLを実際に取得して、どこで止まっているのかを診断します。 移管が必要な状態なのか、STUDIOのままで十分なのかを含めて、無料でお伝えします。
3. 実測①:205件中187件が「可視テキスト0字」
結果です。
指標 | 該当数 | 割合 |
|---|---|---|
可視テキスト0字 | 187件 | 91.2% |
h1タグが0個 | 194件 | 94.6% |
aタグ(リンク)が1個以下 | 187件 | 91.2% |
imgタグ(画像)が0個 | 187件 | 91.2% |
構造化データが0件 | 169件 | 82.4% |
canonicalタグが無い | 187件 | 91.2% |
91.2%のサイトで、Googleが最初に受け取るHTMLには本文が1文字も入っていません。
ここで注目していただきたいのは、「可視テキスト0字」「リンク1個以下」「画像タグ0個」「canonical無し」が、すべて同一の187件だったことです。バラバラのサイトで別々の問題が起きているのではなく、同じ1つの原因から、すべての症状が同時に発生していることを意味します。
その原因が何かは、次の章で特定できました。
4. 実測②:DR76なのにキーワード0件という実害
ここまでは「HTMLがどうなっているか」の話でした。では、実際の検索パフォーマンスはどうなっているのか。Ahrefsで100ドメインの実データを取得しました。
もっとも示唆的だったのは、ドメインパワーが十分にあるのに、検索結果にまったく出てこないサイト群の存在です。
空HTML群のうち、ドメインレーティング(DR)45以上のサイト19件を抜き出しました。
DR | サイト(匿名化) | ランクインKW | 月間検索流入 |
|---|---|---|---|
90 | 大手電機メーカーの事業サイト | 178 | 1,439 |
86 | クラウドファンディング系メディア | 140 | 1,318 |
86 | クラウドファンディング系LP | 1 | 0 |
84 | 上場SaaSのイベントサイト | 11 | 70 |
79 | 音声プラットフォームの採用サイト | 2 | 50 |
76 | 大学の基金サイト | 0 | 0 |
72 | 自治体のオープンイノベーション事業サイト | 0 | 0 |
72 | 同事業の別サイト | 1 | 0 |
66 | アプリ企業の採用サイト | 6 | 190 |
64 | 上場HR SaaSのイベントサイト | 14 | 534 |
59 | 図書館系企業のサイト | 0 | 0 |
55 | ヘルステックSaaS | 7 | 1,591 |
55 | クリエイティブ企業 | 5 | 1,494 |
53 | 医療系人材サイト | 44 | 837 |
47 | 建設業の採用サイト | 1 | 30 |
47 | 金融系の採用サイト | 4 | 7 |
46 | 大手メーカー系の採用サイト | 0 | 0 |
45 | 通信系企業の採用サイト | 0 | 0 |
45 | 食品企業の採用サイト | 3 | 16 |
この19件のランクインキーワード数の中央値は、わずか3件です。
- キーワード5件未満:11/19件(58%)
- キーワード0件:5/19件(DR76、DR72、DR59、DR46、DR45)
DR45〜76というのは、決して弱いドメインではありません。通常であれば数十から数百のキーワードで検索結果に表示されます。それが0件、あるいは1〜3件しかない。
ドメインの力は十分にあるのに、検索結果に存在しない。 これはコンテンツの量や質だけでは説明がつかず、Googleがページの中身を評価できていないことを強く示唆します。
大学の基金サイト(DR76)も、自治体の事業サイト(DR72)も、大手メーカーの採用サイト(DR46)も、検索結果に1つも出てきません。採用サイトが検索に出ないというのは、そのまま採用コストに跳ね返る話です。
5. STUDIOでやるべきSEO設定を一通り
「まず設定を見直したい」という方向けに、STUDIOで実際にできることを整理します。STUDIO公式ヘルプのSEO対策ページが挙げている項目は、次の7つです。
- ページタイトルとディスクリプション——ページごとに設定する。公式の表現では「ページの要点を簡潔に伝えます」。検索結果に出る文言そのものなので、全ページ固有にする。
- ソーシャルカバー画像(OGP画像)——SNS共有時に表示される画像。順位への直接効果はないが、クリック率に効く。
- ファビコン——検索結果やタブでの識別性。
- HTMLタグの設定(見出し階層)——テキスト要素にh1〜h6を割り当てる。h1はページに1つ、見出しの階層を飛ばさない。STUDIOはデザイン優先で作れるため、見た目は見出しでもHTMLタグがdivのまま、という状態が起きやすい箇所です。
- 画像の代替テキスト(alt)——画像の内容を検索エンジンと読み上げに伝える。
- サイトマップ——サイト構造を検索エンジンに申告する。作成後はSearch Consoleに送信する。
- 404ページ——存在しないURLからの離脱を抑える。
この7つは実際に効果があります。未設定なら、まずここを埋めてください。
ただし、公式ヘルプのこの一覧に載っていないものにも目を向けてください。robots.txt、canonical、301リダイレクト、構造化データ——いずれも記述がありません。そしてレンダリング方式(Googleが受け取るHTMLに本文を入れるかどうか)についての記述も、1行もありません。
6. 設定を全部やっても、順位が来ない理由
ここが本題です。前章の7項目を完璧にやっても、検索順位が付かないケースがあります。理由は単純で、7項目のほとんどが<head>内のメタ情報とサイト構造の申告であって、評価対象である本文そのものに触れていないからです。
タイトルとディスクリプションはHTMLに入ります。OGP画像もファビコンもサイトマップも入ります。しかし本文テキスト・見出し・内部リンクがHTMLに存在しなければ、設定した分だけがGoogleに届き、中身は届きません。
ここで多くの方が判断を誤ります。titleとdescriptionはHTMLにあるので、その情報だけでURLはインデックスされます。Search Consoleを見れば「インデックス済み」と出る。だから「設定はできている」と結論してしまう。ところが実際に起きているのは次の状態です。
- 社名・サービス名での検索では表示される(titleで拾われている)
- 本文の内容で評価されるキーワードでは、まったく表示されない
実測がこれを裏づけています。DR45以上の独自ドメイン19件について、ランクインキーワード数の中央値はわずか3件。DR76・DR72・DR59・DR46・DR45のサイトが、キーワード0件でした。通常このドメインパワーなら数十から数百のキーワードでランクインします。ドメインの力は十分あるのに、検索結果に1つも出てこない。これはコンテンツ不足では説明がつきません。
「STUDIOはSEOに弱くない、設定すれば上位表示できる」という主張は、設定の話としては正しいのです。ただし、その設定が効くのはHTMLに中身が入っている場合に限られます。空のHTMLに対してタイトルとサイトマップを整えても、土俵に上がれていない状態は変わりません。
7. 反論への回答:「GoogleはJavaScriptを読めるのでは?」
ここまで読んで、こう思われた方がいるはずです。
「今のGooglebotはJavaScriptを実行できる。CSRでも問題ないという検証結果が出ているじゃないか」
その通りです。そして、その主張の最有力ソースを正面から扱わないと、この記事は不誠実になります。
Vercelの大規模検証
ホスティングプラットフォームのVercelが2024年に公開した検証は、この分野でもっとも参照されているデータです。Googleのゲイリー・イリース氏も「グーグルのレンダリングは、現代のウェブにとって素晴らしい性能を発揮する」と述べています。
Vercelの調査規模と結論:
- 100,000件超のGooglebotフェッチを分析
- 37,000件超のレンダリング済みHTMLをサーバーログと突合
- 期間:2024年4月
"100% of HTML pages resulted in full-page renders"
(HTMLページの100%が完全にレンダリングされた)
"Google renders all 200 status HTML pages, regardless of JS content"
(GoogleはJSの内容にかかわらず、ステータス200のHTMLページをすべてレンダリングする)
レンダリングまでの遅延も計測されています。
パーセンタイル | 遅延 |
|---|---|
50%(中央値) | 10秒 |
75% | 26秒 |
90% | 約3時間 |
95% | 約6時間 |
99% | 約18時間 |
「GoogleはJavaScriptをレンダリングできる」——これは事実です。私もそう考えています。
では、なぜ実測では検索に出ないのか
答えは、Vercel自身が書いている推奨事項の中にあります。
同じ記事の末尾で、Vercelは開発者に向けて次のように推奨しています。
推奨事項3:
"Use server-side rendering or static generation for critical SEO tags and important content to ensure they're present in the initial HTML response."
(重要なSEOタグと重要なコンテンツについては、サーバーサイドレンダリングまたは静的生成を使い、初期HTMLレスポンスに含まれるようにすること)
推奨事項6:
"Implement important navigational links as real HTML anchor tags rather than JavaScript-based navigation."
(重要なナビゲーションリンクは、JavaScriptベースのナビゲーションではなく、実際のHTMLアンカータグとして実装すること)
JavaScript SEO擁護論の最有力ソースが、「重要なコンテンツは初期HTMLに入れろ」「ナビゲーションリンクは実HTMLのaタグにしろ」と明記しているのです。
そして本記事の実測では、STUDIO製サイトの91.2%が——
- 初期HTMLの可視テキスト:0字
- aタグ:平均0.1個
擁護論が示した推奨事項に、真正面から違反しています。
「GoogleはJavaScriptを読めるから大丈夫」という主張は、Vercelの検証結果の前半だけを引用して、後半の推奨事項を無視しています。Vercel自身も "SSR pages have a slight advantage in initial link discovery"(SSRページは初期のリンク発見で優位性がある)と認めています。
レンダリングされることと、評価されることは別
さらに押さえるべき点が2つあります。
1つ目:Vercelの検証対象は nextjs.org、monogram.io、basement.io の3サイトのみです。いずれもVercel自身またはパートナーが運営する高品質なサイトで、Next.jsのSSR/SSGで構築されています。純粋なCSRサイトは検証対象に含まれていません。「SSRされたサイトを調べたらレンダリングも順調だった」という結果を、CSRサイトにそのまま適用することはできません。
2つ目:レンダリング遅延の90パーセンタイルは約3時間、99パーセンタイルは約18時間です。中央値10秒という数字だけを見て「速い」と判断するのは危険で、10ページに1ページは3時間以上待たされる計算になります。更新頻度の高いサイトでは実害です。
加えて、SEOコンサルタントのBrodie Clark氏は、Search Consoleの検査ツールで正常にレンダリング表示されていても、実際にはインデックスされていないケースがあると指摘しています。「Search Consoleで見えているから大丈夫」は、確認方法として不十分です。
8. 「HTMLが空」で実際に失われるもの
「JavaScriptが実行されれば表示されるのだから、いずれ読まれるのでは」と思われるかもしれません。しかし失われるのは本文だけではありません。
内部リンクがHTML上に存在しない(最重要)
空HTML群のaタグは平均0.1個。実質ゼロです。
Googlebotはリンクをたどってサイト内を巡回します。トップページを取得しても、そこから下層ページへ進む経路がHTMLに存在しない、という状態です。
サイトマップを送信すれば個々のURLは発見されます。しかし内部リンクは、単なる発見経路ではありません。「どのページが重要か」「ページ同士がどう関連しているか」をGoogleに伝える評価シグナルそのものです。内部リンクがHTML上に存在しないサイトは、全ページが互いに孤立した状態でGoogleに認識されます。
この点は、後述するVercelの検証結果とも直結する、本記事で最も重要な論点です。
見出しタグ(h1)が存在しない
205件中194件でh1タグがゼロでした。そのページが何について書かれたページなのか、HTMLレベルでは一切表明されていない状態です。
画像タグとalt属性が存在しない
STUDIOは画像をCSSの背景として描画するため、HTML上にimgタグが現れません。結果としてalt属性も存在せず、画像検索の対象になりません。商品・料理・施工事例など、画像が集客の要になる業種では取りこぼしが大きくなります。
構造化データとcanonicalが無い
82.4%が構造化データ(JSON-LD)ゼロ、91.2%がcanonicalタグ無しでした。リッチリザルトの機会損失と、URL正規化の不備を同時に抱えます。
残っているのはtitleとdescriptionだけ
空HTML群でも、<title> と <meta name="description"> はHTMLに正しく入っていました。
だからこそ厄介です。 Search Consoleで見ると「インデックス済み」と表示されることがあります。タイトルだけを頼りに、社名検索ではかろうじて表示される。しかし社名以外のキーワードでは一切出てこない。これが91.2%のサイトで起きている典型的な症状です。
9. 配信基盤の判別と、4.5MBのJavaScript
ここからは技術的な裏づけです。判断だけ知りたい方は読み飛ばして構いません。
レスポンスヘッダで配信基盤は判別できる
205件を「中身が入っているグループ」と「空のグループ」に分けて、サーバーが返すレスポンスヘッダを比較したところ、決定的な差が出ました。
空HTML群(187件)— ヘッダは4行しかありません
cache-control: public, s-maxage=3, max-age=0
content-type: text/html;charset=utf-8
server: Google Frontend
via: 1.1 google中身あり群(18件)— 空HTML群に存在しないヘッダが付いています
server-timing: loadData;dur=866.5, toHTMLString;dur=32.5
x-hrc-outcome: ok
x-hrc-depth: 0
cache-control: public, max-age=86400注目すべきは toHTMLString です。これは「HTMLを文字列に変換する処理」の名前で、サーバー側でHTMLを組み立てている動かぬ証拠です。その前段の loadData(データ取得)に866ミリ秒かかったことまで記録されています。
つまり中身あり群は、サーバーがデータを取得してHTMLを完成させてから返している。これがサーバーサイドレンダリング(SSR)です。空HTML群には、この処理が一切ありません。
相関は完全に1.0でした
件数 | 可視テキスト0字 | 平均テキスト | 平均h1 | 平均リンク | |
|---|---|---|---|---|---|
SSRヘッダあり | 18件 | 0件 | 2,348字 | 0.67個 | 48.0個 |
SSRヘッダなし | 187件 | 187件 | 0字 | 0.00個 | 0.1個 |
例外がゼロです。SSRヘッダの有無だけで、中身の有無が100%判定できました。
STUDIOは新旧2つの配信基盤を併存させており、公式が実績として掲載しているサイトの91.2%が、旧基盤(クライアントサイドレンダリング)に乗ったままです。 これが「STUDIOはSEOに弱い」「いや強い」という議論が永久に噛み合わない理由でした。どちらの主張も、自分が見たサイトについては正しいことを言っていたのです。
4.5MBのJavaScriptとクロールバジェット
空HTML群のサイトが読み込むJavaScriptを、実際にダウンロードして測りました。
サイト(匿名化) | HTML | JavaScript | HTML比 | 全体に占めるHTML |
|---|---|---|---|---|
名古屋の日本料理店 | 20,338B | 4,505,301B | 222倍 | 0.45% |
長崎の酒造メーカー | 18,861B | 4,505,301B | 239倍 | 0.42% |
約4.5MB。HTMLの200倍以上です。
両サイトで読み込まれているファイルは完全に同一でした。パスは /_nuxt/C_deIiTl.js。この _nuxt というディレクトリ名から、STUDIOがNuxt.js(Vue.jsベースのフレームワーク)で構築されていることが外形から確認できます。サイト固有のコードではなく、STUDIO共通のランタイムです。
Googlebotが1ページの内容を把握するには、20KBのHTMLに加えて4.5MBのJavaScriptを取得して実行する必要があります。取得データ全体に占めるHTMLの割合は、わずか0.44%です。
支援現場で観測した数値
Googleが1つのサイトに割くクロールの予算(クロールバジェット)には上限があります。その予算の大半がJavaScriptの取得と実行に消費されると、本来クロールされるべきコンテンツページに予算が回りません。
当社が過去に診断した大規模サイトで、まさにこの状態を観測しています。フロントエンドがNuxt.jsで構築され、SSRに対応していなかったサイトです。
課題:SSR未対応で、クロールバジェットの70%がJSファイルに消費されていた
対策:SSR対応、クロールバジェットの制御、内部リンクの制御
結果:0 → 30万アクティブユーザー
このサイトは数万ページを保有していましたが、対策前は流入がほぼゼロでした。数万ページ分のコンテンツが存在するのに、Googleがそこに到達できていなかったのです。
別の大規模プラットフォームの診断では、HTMLの読み込み比率がもともと10%台という数値が出ていました。クローラーが取得したデータの9割近くがJavaScriptだったということです。
公平を期すための補足
数ページ〜数十ページの小規模サイトでは、クロールバジェットはほぼ問題になりません。 Googleは小規模サイトを巡回する余力を十分に持っています。10ページのコーポレートサイトで「クロールバジェットが」と言うのは、多くの場合オーバートークです。
クロールバジェットが実害になるのは、数千ページ以上を抱えるサイト、更新頻度が高いサイト、パラメータでURLが増殖するサイトです。
ただし小規模サイトでも、内部リンクがHTMLに存在しないという問題(4章)は規模に関係なく効きます。
10. 大手・上位プランなら安全か
「うちは有料プランだから」「大手企業のサイトだから対応済みのはず」——実測はこれを支持しませんでした。
空HTML群(91.2%)に含まれていたサイトの一部です。
- DR90 の大手電機メーカーの事業サイト
- DR86 のクラウドファンディング関連サイト(2件)
- DR84 の上場SaaS企業のイベントサイト
- DR79 の音声プラットフォームの採用サイト
- DR76 の大学基金サイト
- DR72 の自治体事業サイト
- DR64 の上場HR SaaSのイベントサイト
すべて可視テキスト0字です。
逆に、SSRが効いていた18件の中には、無料サブドメイン(.studio.site)のサイトが4件含まれていました。
STUDIOの公式料金表(2026年7月時点)を確認しても、SSR・サーバーサイドレンダリングに関する項目は一切ありません。上位プランで明示的に提供されるのは、独自ドメイン接続、301リダイレクト、カスタムヘッダーといった機能です。
プラン | 月額(年払い) | 独自ドメイン | 301リダイレクト | カスタムヘッダー |
|---|---|---|---|---|
Free | ¥0 | ✗ | ✗ | ✗ |
Mini | ¥590 | ✓ | ✗ | ✗ |
Personal | ¥1,190 | ✓ | ✗ | ✗ |
Business | ¥3,980 | ✓ | ✓ | ✓ |
Business Plus | ¥9,980 | ✓ | ✓ | ✓ |
Enterprise | 要相談 | ✓ | ✓ | ✓ |
プランの上下でも、企業規模でも判別できません。実測するしかありません。
なお、STUDIO公式サイト(studio.design)自体はSSRが効いており、可視テキスト13,826字・h1あり・リンク256個・画像297個と、極めて健全な状態でした。公式サイトは新基盤に乗っている一方、公式が実績として掲載しているサイトの91.2%は旧基盤のまま、というのが実測から見える構図です。
これはノーコード全般の問題ではありません
念のため、他のノーコードツールも同じ方法で測りました(各社の公式サイト)。
プラットフォーム | HTMLサイズ | 可視テキスト | h1 | リンク |
|---|---|---|---|---|
Webflow | 633,900B | 26,352字 | 2 | 260 |
Squarespace | 619,795B | 27,263字 | 1 | 446 |
Wix | 1,355,192B | 7,338字 | 1 | 182 |
ペライチ | 141,163B | 5,734字 | 1 | 128 |
Jimdo | 543,731B | 2,432字 | 1 | 47 |
WordPress | 152,606B | 2,186字 | 1 | 65 |
STUDIO実績サイト(91.2%) | 7,000〜20,000B | 0字 | 0 | 0 |
「ノーコードだからSEOに弱い」という一般論は成り立ちません。これはSTUDIOの旧配信基盤に固有の問題です。
(※この比較は各プラットフォームの公式サイトを対象としたもので、ユーザー生成サイト同士の網羅的な比較ではありません。参考データとしてご覧ください。)
11. 直すか、移管するか
空HTML群だと判明した場合の選択肢は3つです。移管ありきで考える必要はありません。
選択肢1:STUDIOのまま続ける(合理的なケースがあります)
以下すべてに当てはまるなら、急いで動く必要はありません。
- ページ数が10〜20程度の小規模サイト
- 集客の主軸が広告・営業・SNS・紹介で、検索流入は補助的
- 狙う検索キーワードが社名・ブランド名などの指名検索に限られる
指名検索はtitleタグが正しければ拾われることが多く、空HTMLでも一定は機能します。デザインの自由度と更新の手軽さというSTUDIOの強みを取りつつ、集客は別チャネルで作る、という判断は十分に合理的です。
選択肢2:STUDIO内で改善する
STUDIOのまま実施できることもあります。
- noindex設定の点検
- title・descriptionの最適化(空HTMLでもここは効きます)
- サイトマップの送信とインデックス登録リクエスト
- 301リダイレクトが必要ならBusinessプラン以上へ変更
ただしこれらは、HTMLが空であるという根本問題を解決しません。内部リンクも見出しも構造化データも、HTMLに存在しない状態のままです。「取りこぼしを減らす」対策であって、「検索流入を主要チャネルにする」ための対策ではない、と期待値を正しく置いてください。
選択肢3:SSR/SSG構成へ移管する
以下に当てはまるなら、移管を検討する価値があります。
- 検索流入を事業の主要な獲得チャネルにしたい
- 記事・事例・商品など、増やしていくコンテンツがある
- すでにコンテンツを投入しているのに流入が伸びない
- 採用サイトで「職種名×地域名」などの検索を取りたい
- 指名検索以外のキーワードで上位を取りたい
当社が人材コンサル企業へ提出したSEO提案書でも、課題として「クローラーに正しくページ評価が渡せておらずマイナス評価を受けている可能性がある」と整理したうえで、施策の第一項目に「STUDIO移管」を挙げています。コンテンツを増やす前に、コンテンツが評価される土台を作る、という順序です。
12. WordPress・他CMSへ移管する場合の構成・期間・費用
技術構成
Nuxt3 / Next.js + ヘッドレスCMS + ホスティング が標準です。
- フロントエンド:Nuxt3またはNext.js。SSRまたはSSG/ISRで配信
- コンテンツ管理:microCMSなどのヘッドレスCMS
- ホスティング:AWS(ECS + ALB + Route53)またはVercel
重要なのは、「開発者でないと更新できないサイト」にしないことです。STUDIOを選んだ最大の理由が「自分たちで更新できること」なら、移管後もその条件は維持しなければ意味がありません。ヘッドレスCMSを噛ませる構成は、そのための設計です。
対応範囲
- SSR/SSG対応(本記事の主題である根本対策)
- サイトマップの自動生成
- meta・canonical・OGPの適正化
- 構造化データの実装
- 内部リンク構造の設計
- 旧サイトからのコンテンツ移行と301リダイレクト設計
301リダイレクトは必ず含めてください。 URL構造が変わる移管で旧URLからの転送を怠ると、積み上げた評価がリセットされます。移管によって順位が落ちる事故の大半は、この工程の欠落が原因です。
期間
フェーズ | 期間 |
|---|---|
ヒアリング・現状調査 | 1〜2週間 |
見積・契約 | 2営業日程度 |
開発 | 1〜3ヶ月 |
コンテンツ移行 | 2週間程度 |
追加要件がなければ、1〜2ヶ月でアクセス可能な状態になります。
費用の目安
- サイト新規構築:50万円〜
- コンテンツ移行:既存サイトからの全面移行で100万円程度
- 追加ページ実装:30万円/ページ〜
ランニングコストは、ヘッドレスCMS(microCMS Hobbyプランで月額4,900円)+ホスティング(AWS構成で月額1万〜2万円)が目安です。
※規模・要件により変動します。予算からの逆算でのご相談も承っています。
構成・期間・費用まで見て「自社ならどうなるか」を具体化したい場合は、現状のHTMLを診断したうえでWordPressや他CMSへの移管プランをお出しします。STUDIOのまま改善する方が合理的なら、そう申し上げます。
関連: ハウクレイジーのSEO支援サービス / レンダリング方式の選び方はJavaScript SEOとレンダリング方式の選び方で詳しく解説しています。
付録:調査方法(誰でも再現できます)
数字の前に、どう取ったかを開示します。ここが曖昧な「独自調査」は信用に値しません。
母集団の作り方
STUDIO公式サイト内の制作実績ページ studio.design/ja/experts/works/ の全カテゴリから、掲載されているサイトURLを機械的に抽出しました。
この母集団を選んだ理由は明確です。STUDIO社自身が「STUDIOで作られた優れたサイト」として公認し、かつプロの制作会社が受注制作した案件だからです。無料プランの素人サイトを集めて「STUDIOはダメだ」と言うのはフェアではありません。STUDIOがショーケースとして誇る側のサイトを対象にしています。
- 抽出URL:215件
- 取得成功:209件
- STUDIO製と確認:205件(HTML内に
studiodesignapp/studio.design//_nuxt/の署名を検出)
取得条件
User-Agent: Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)本記事で「可視テキスト」と呼ぶのは、HTMLのbody要素からscriptとstyleを取り除き、タグを剥がした後に残る文字数です。言い換えると、Googleが追加処理(JavaScriptの実行)なしで読める文字数です。
再現方法
読者の方が同じ検証をできるよう、コマンドも書いておきます。
curl -s -A "Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)" \
https://example.com/ > page.html取得したHTMLを開いて、ページに表示されているはずの文章を検索してください。見つからなければ、それがこの記事で扱っている状態です。
本調査の限界(正直に書きます)
独自調査を掲げる以上、言えないことも明示します。
SSRにすれば流入が増える、とは証明できていません
Ahrefsのデータでは、SSR群18件のほうが数字は悪く、ランクインキーワード0件が72%、流入0が78%でした。
ただしSSR群のDR中央値は9.5で、空HTML群の28.5より大幅に低い数値です。SSR群は個人事業主や零細事業者のサイトが中心で、そもそもドメインが育っていません。サンプルサイズも18件と小さく、統計的な比較には不十分です。
したがって、本調査から言えるのは次のことだけです。
SSRは検索で戦うための「必要条件」であって、「十分条件」ではない。
HTMLに中身が入っていなければ土俵に上がれないが、上がったうえでコンテンツと被リンクを積まなければ順位は付かない。
「SSR対応すれば流入が伸びます」と言う業者がいたら、疑ってください。移管はスタートラインに立つための工事であって、それ自体が集客施策ではありません。
その他の限界
- 調査は各サイトのトップページのみを対象としています。下層ページの挙動は別途検証が必要です
- 空HTML群とSSR群を分ける条件(プランなのか、公開時期なのか、基盤移行の順序なのか)は、外形からは特定できませんでした
- 他ノーコードツールとの比較は各社公式サイトを対象としたもので、ユーザー生成サイト同士の網羅的比較ではありません
- 数値はすべて2026年7月23日時点のものです。 STUDIOは配信基盤を移行中の可能性があり、今後変わりえます
よくある質問
Q. STUDIOは使うべきではないのでしょうか?
いいえ。デザインの自由度、制作スピード、運用のしやすさでSTUDIOは優れたツールです。実測でも、STUDIO公式サイトを含む18件は正しくSSRされ、見出し・内部リンク・構造化データも適切に実装されていました。問題は「STUDIOかどうか」ではなく、「自社のサイトがどちらの配信基盤に乗っているか」「検索流入をどれだけ事業の柱にするか」です。
Q. Search Consoleで「インデックス済み」と出ています。問題ないのでは?
インデックス済み=内容が正しく評価されている、ではありません。空HTML群でもtitleとdescriptionはHTMLに入っているため、その情報だけでインデックスされることがあります。この状態では社名検索では表示されますが、本文の内容で評価されるキーワードでは上位に出ません。実際、DR76・DR72のサイトがランクインキーワード0件でした。
Q. 上位プランに変更すればSSRされますか?
2026年7月時点のSTUDIO公式料金表に、SSRに関する項目はありません。実測でも、DR90の大手企業サイトが空HTML群だった一方、無料サブドメインのサイトがSSR群に含まれていました。プランや企業規模では判別できません。検討する場合は、事前にSTUDIO社へ直接確認することをおすすめします。
Q. 開発者ツールで見たら本文がありました。大丈夫では?
開発者ツール(検証/Inspect)が表示するのはJavaScript実行後のDOMで、Googlebotが最初に受け取るHTMLとは別物です。必ず「ページのソースを表示」(view-source:)で確認してください。この違いを取り違えた状態で「問題ない」と判断されているケースを、実務で頻繁に見ます。
Q. 記事を増やせば改善しますか?
HTMLが空のままコンテンツを増やしても、Googleがその内容に到達しにくい状態は変わりません。当社が支援した事例では、数万ページを保有しながら流入がほぼゼロだったサイトが、SSR対応とクロール制御の実施後に30万アクティブユーザーまで伸びました。コンテンツの量より、コンテンツが評価される土台の有無が先に効きます。
Q. 採用サイトなのですが、SEOは関係ありますか?
大いに関係します。実測した空HTML群には採用サイトが多数含まれており、DR46・DR45の大手企業系採用サイトがランクインキーワード0件でした。「職種名×地域名」「企業名×採用」といった検索で表示されなければ、そのぶん採用広告費で埋める必要があります。
Q. SSR・SSG・CSRの違いが分かりません。どれを選べばいいですか?
CSRはブラウザ側でJavaScriptを実行して画面を作る方式で、Googleが最初に受け取るHTMLは空になります。SSRはサーバー側で本文入りのHTMLを組み立てて返す方式、SSGはあらかじめHTMLを生成しておく方式で、どちらもHTMLに本文が入ります。検索流入を取りたいなら、更新頻度が低いページはSSG、頻繁に変わるページはSSRが基本です。選び方はJavaScript SEOとレンダリング方式の選び方で詳しく解説しています。
Q. WordPressに移管すれば、必ず流入は増えますか?
いいえ。増えるとは言えません。HTMLに本文が入るのは検索で戦うための必要条件であって、十分条件ではありません。移管によって「土俵に上がれる」状態にはなりますが、順位が付くかどうかはそこからコンテンツと内部リンク、被リンクを積めるかで決まります。移管だけで流入が増えると説明する会社には、根拠を確認してください。本記事の限界についても次章に正直に書いています。
まとめ
- STUDIO公式が実績として掲載するサイト205件のうち、187件(91.2%)はGoogleが受け取るHTMLに本文が1文字も入っていない(2026年7月23日実測)
- 内部リンクも平均0.1個で、サイト内の巡回経路がHTML上に存在しない
- レスポンスヘッダ(
toHTMLString)の有無で、配信基盤は100%判別できる - 読み込まれるJavaScriptは約4.5MB、HTMLの200倍以上
- DR76の大学サイト、DR72の自治体サイトがランクインキーワード0件。ドメインパワーがあるのに検索結果に存在しない
- 「GoogleはJSを読める」と主張するVercelの検証自身が、「重要コンテンツは初期HTMLに」「リンクは実HTMLのaタグに」と推奨している。91.2%はこれに違反している
- 大手・上位プランでも安全ではない。DR90・DR86・DR84のサイトが空HTML群だった
- ノーコード全般の問題ではない。Webflow・Wix・ペライチ・Squarespaceは正常に出力されている
- ただしSSRは必要条件であって十分条件ではない。移管は土俵に上がるための工事
まずは自社サイトが91.2%側なのか、8.8%側なのかを確認してください。 実際にHTMLを取得して診断し、移管が必要な状態かどうかまでお伝えします。
本記事の実測データは2026年7月23日時点のものです。調査手順は本文に記載しており、どなたでも再現可能です。STUDIOは配信基盤を継続的に更新しているため、判断の際は必ずご自身のサイトで最新の状態を確認してください。
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サービス内容を見る執筆者
関口 拓人
代表取締役
早稲田大学在学中にメディアを立ち上げ、ゲームエイト創業に参画。リクルートを経てゲームエイト執行役員、インフラトップCMOを歴任後、独立。月間数千万円売上の自社サイト立ち上げを含む、累計50サイト以上のマーケティング支援実績を持つ。
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