LLMO対策の前に|AIが料金を読めない日本企業が36%【25社実測】

LLMO※1 の解説記事を読むと、技術的な助言が出てきます。「AIのクローラー※2はJavaScriptを実行しない。だから、サーバー側で組み立てる方式※3にしろ」。正しい助言です。
ただ、本当にそこで詰まっているのか。日本のBtoB SaaS 25社の料金ページを実測しました。JavaScriptが原因で読めなかったのは、25社中1社だけでした。
それでも9社(36%)は、AIが公式サイトから料金を読み取れない状態です。原因は技術ではありませんでした。そもそも料金が書かれていない。ページは存在するのに、答えが置かれていない。
結論から述べます。これはエンジニアが直せる問題ではありません。書くか書かないかの判断です。そして書かなくても、AIは黙りません。代わりに比較サイトがあなたの価格を語ります。
LLMOとは?SEOとの違いを一言で
LLMOとは、AIに正しく引用してもらうための最適化です。GEO(AI検索最適化)やAEO(AIの回答に出るための最適化)と呼ばれることもありますが、指しているものはほぼ同じです。
SEOとの違いは、取りに行くものです。
| SEO | LLMO | |
|---|---|---|
| 取りに行くもの | 検索結果の順位 | AIの回答内での引用 |
| 読み手 | 人間(クリックする) | AI(要約して答える) |
| 成果の出方 | 流入が増える | 指名検索・第一想起が増える |
ここまでは、どの解説記事にも書いてあります。問題はこの先です。
上位10本が書いているのは技術の話
まず、他社が何を書いているかを確認しました。LLMO の検索上位とAI Overviewの引用元、あわせて10本を精読しています。
| 判定軸 | 結果 |
|---|---|
| 取得(JavaScriptでの描画・サーバー側での組み立て・robots.txt)に言及 | 5 / 10 |
| 料金ページに言及 | 0 / 10 |
| 著者自身が測った独自データを持つ | 4 / 10 |
半数は、すでに取得の話を書いています。「多くの生成AIクローラーがJavaScriptのレンダリングに十分対応していない」「JavaScriptを中心とした構成はAIクローラーの読み取りを妨げる可能性がある」「JavaScriptが実行されないと、AIにとって真っ白なページに見えてしまう」。いずれも正確です。
ただし、全部が一般論でした。「JavaScriptはよくない」「サーバー側で組み立てろ」で終わっていて、実際にどのページが読めていないのかを測った記事は、10本中0本です。そして料金ページに触れた記事も、0本でした。
日本語圏では、まだ誰も測っていない。ところが海外では、すでに測られていました。
海外では料金ページが測られている
Kevin Indig氏(Shopify・G2・AtlassianでSEOを率いた人物)と David Kaufman 氏が、B2B製品100件を対象に実測しています。購買に関わる3種類の質問(料金・統合機能・セキュリティ)をAIエージェントに投げ、各5回、開始リンクを与えずに実行した調査です。
| 取得対象 | 成功率 |
|---|---|
| 統合機能の情報 | 93%以上 |
| セキュリティ・コンプライアンス情報 | 93%以上 |
| 料金情報 | 79% |
そして決定的なのがこの数字です。
- 第三者サイトへの引用の77%が、料金ページの取得失敗に起因
- 取得エラーが起きると、第三者情報への依存が 17% → 77% に跳ね上がる
(出典: Kevin Indig / David Kaufman による調査。Search Engine Land Where AI agents get stuck on your site 2026年7月16日)
つまり、自社の料金を自社サイトから読み取れないとき、AIは沈黙しません。答えが書いてある場所、つまり比較サイトやまとめ記事を引用します。自社の価格を、他人が語っている状態です。
「書かない」という判断は、「語らせない」ことにはなりません。「他人に語らせる」ことになります。
価格を出さないのは、BtoBでは合理的な判断です。否定しません。ただ、出さなければ黙っていてもらえる、という前提はもう成立していません。比較サイトの推測値が、あなたの価格として流通します。
では、日本ではどうなのか。Indig氏の調査対象は米国のB2B製品です。同じ問いを日本語圏で測った記事が見当たらなかったので、自分たちで測りました。
だが技術で詰まったのは25社中1社だけ
方法: 日本発のBtoB SaaS 25社の料金ページについて、生HTML※4(AIが読むもの)とレンダリング後(人間がブラウザで見るもの)の双方で、実際の金額表記の有無を判定しました。2026年7月17日時点です。
| 判定 | 社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 生HTMLで料金が読める | 16 | 64% |
| 価格非公開(お問い合わせ誘導) | 5 | 20% |
| 価格の記載なし | 2 | 8% |
| JavaScriptでしか料金が出ない | 1 | 4% |
| 生HTMLを取得できず | 1 | 4% |
| AIが公式から料金を読めない(計) | 9 | 36% |
JavaScriptで詰まっていたのは、1社だけでした。生HTMLに金額表記が0件、ブラウザで描画すると9件。人間には見えて、AIには見えない状態です。これは確かに、サーバー側で組み立てる方式に変えれば直ります。
ただ1社です。上位10本が口を揃えて言っている「JavaScriptを避けろ、サーバー側で組み立てろ」は、24社にとっては既に済んだ話でした。日本のBtoB SaaSは、そこをほぼ克服しています。
正直に書きます。私も測る前は、JavaScriptが原因で読めていない会社がもっと多いと考えていました。仮説は外れました。技術の話に見えていたものが、技術の話ではなかった。
詰まっていたのは「書いていない」こと
では、残りの8社は何だったのか。内訳がこれです。
- 価格非公開(5社) — 「お問い合わせください」
- 価格の記載なし(2社) — 描画しても金額が出てこない
- 取得できず(1社) — 当方のアクセス方法では403
つまり36%のほぼ全部が、技術ではなく「書いていない」でした。
ここは正確に言う必要があります。料金ページ自体は存在します。URLはあるし、開くし、正常に返ってきます。/price/ も /pricing/ もある。ページはあるのに、「いくらか」という答えがそこに無い。
だから、サーバー側で組み立てる方式に変えても解決しません。書いていないものは、どう描画しても出てきません。
これはエンジニアが直せる問題ではない。経営判断の問題です。
AIを拒否している企業は1社もなかった
「読めないのはAIを拒否しているからでは」と考えるのが自然です。そこで30社の robots.txt※5 を確認しました。GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBot、Google-Extended など8体について判定しています。
| 結果 | 社数 |
|---|---|
| AIクローラーを1体以上ブロック | 0 / 30 |
| robots.txt でAIクローラーに言及すらしていない | 29 / 30 |
1社もブロックしていませんでした。AIクローラーの名前をrobots.txtに書いている会社すら、30社中1社だけです。
門は開いています。JavaScriptもほぼ解決している。それでも読まれない。中に置いてあるべきものが、置かれていないからです。
今日から確認できる3つのこと
正直に書きます。よく言われる確認項目は、ほとんど空振りします。私たちの実測では、robots.txtでAIを拒否していた企業は30社中0社、JavaScriptが原因で詰まっていた企業は25社中1社でした。それでも5分で終わるので、順に潰してください。
| 確認すること | 方法 | 実測での引っかかり |
|---|---|---|
| ① 料金の「答え」が書いてあるか | 料金ページに具体的な金額、または「従業員数に応じた従量制」等の価格の考え方が書かれているか | 9/25が該当(本命) |
| ② 生HTMLに載っているか | 料金ページで「ページのソースを表示」し、金額を検索。見た目にあってソースに無ければAIには読めていない | 1/25 |
| ③ AIクローラーを拒否していないか | 自社ドメイン/robots.txt に GPTBot ClaudeBot PerplexityBot の Disallow がないか | 0/30 |
①が本命です。そして価格を公開しない判断は、変えなくて構いません。ただしその場合でも、「価格の考え方」だけは読める形で書いてください。
「初期費用なし・月額制」「従業員数に応じた従量制」「最小構成で月◯万円台から」。この一行があるだけで、AIが引用できる情報になります。何も書かなければ、AIは比較サイトの推測値を引用します。どちらがマシか、という話です。
なお、こうした取得性の設計はSEOの実装と地続きの領域になります。
この記事の限界と、正直な注意点
- 79%と64%を直接比較してはいけません。Indig氏の調査はAIエージェントを実際に走らせたもの、私たちの調査は生HTMLの検査です。方法が違います。日本が米国より悪い、とは言えません
- n=25(料金)/ n=30(robots.txt)/ n=10(上位記事)、いずれも2026年7月17日時点。料金ページを自動で特定できなかった5社は対象外です
- 「価格非公開」は不備ではありません。BtoBでは合理的な経営判断である場合が多い。この記事が問題にしているのは非公開そのものではなく、「非公開にした結果、AIに何も語らせられなくなっている」という副作用への無自覚です
- 取得できれば引用される、わけではありません。取得は必要条件であって十分条件ではない。読めた上で、中身(一次情報・E-E-A-T・構造化)が効いてきます
- 403で生HTMLを取得できなかった1社は、私たちのアクセス方法での結果です。AIクローラーには開いている可能性があります
- 上位10本の「取得への言及」は、記事内の記述を根拠にした判定です。各社が実測していないという意味ではありません
まとめ
- LLMOの解説記事は「AIのクローラーはJavaScriptを実行しない。サーバー側で組み立てろ」と技術の話をする。上位10本のうち5本が取得に触れていた。正確な助言である
- しかし日本のBtoB SaaS 25社を実測すると、JavaScriptで詰まっていたのは1社だけ。24社は既に克服している
- それでも9社(36%)がAIに料金を読ませられない。原因は技術ではなく、そもそも料金が書かれていないこと(価格非公開5社・記載なし2社)
- ページは存在する。答えが置かれていない。サーバー側で組み立てる方式に変えても、書いていないものは出てこない
- AIクローラーを拒否している企業は30社中0社。門は開いている
- 公式に答えがなければ、AIは黙らず、比較サイトを引用する。米国の実測では第三者引用の77%が料金ページの取得失敗に起因していた
- 価格を非公開にする判断は合理的でよい。ただし「価格の考え方」だけは読める形で書く。書かなければ、他人があなたの価格を語る
用語について
- ※1 LLMO — AIに正しく引用してもらうための最適化。Large Language Model Optimization の略。GEO(AI検索最適化)、AEO(AIの回答に出るための最適化)もほぼ同じものを指す。
- ※2 AIのクローラー — ChatGPTやClaudeなどのAIが、Web上の情報を読みに来るプログラム。
GPTBotClaudeBotPerplexityBotなどの名前で、自社サイトにアクセスしてくる。 - ※3 サーバー側で組み立てる方式 — ブラウザに渡す前に、サーバー側でHTMLを完成させておく作り。SSR(Server-Side Rendering)と呼ばれる。逆に、ブラウザに届いてからJavaScriptで中身を組み立てる作りだと、JavaScriptを実行しないAIには何も見えない。
- ※4 生HTML — ブラウザが最初に受け取る、JavaScriptを実行する前のHTML。AIの多くはここしか読まない。ブラウザで「ページのソースを表示」すると見られる。
- ※5 robots.txt — サイトの入口に置く、クローラー向けの案内ファイル。「どのプログラムに、どこを読ませるか」を指定できる。
自社ドメイン/robots.txtで誰でも見られる。
出典
- Kevin Indig / David Kaufman「Where AI agents get stuck on your site」Search Engine Land, 2026年7月16日(B2B製品100件の実測調査)
- OpenAI「Overview of OpenAI Crawlers」(GPTBot / OAI-SearchBot / ChatGPT-User)
- Anthropic「Does Anthropic crawl data from the web, and how can site owners block the crawler?」(ClaudeBot)
- Perplexity「Perplexity Crawlers」(PerplexityBot)
- Google「Google クローラー(ユーザー エージェント)の概要」「Google の一般的なクローラー」(Google-Extended)
### 精読した「LLMO」上位記事(n=10・2026年7月17日時点)
検索上位とAI Overviewの引用元から10本。記事タイトルとURLのみ記載(社名は記事の主題ではないため)。
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執筆者
関口拓人
代表取締役
早稲田大学在学中にメディアを立ち上げ、ゲームエイト創業に参画。リクルートを経てゲームエイト執行役員、インフラトップCMOを歴任後、独立。月間数千万円売上の自社サイト立ち上げを含む、累計50サイト以上のマーケティング支援実績を持つ。
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